中小企業診断士の実務補習が終わったので感想など

中小企業診士の試験後の実務補習15日間が終わり、無事修了しましたので、感想や学んだことなどをまとめておきます。

 

 

実務補習日程について

時期をわけて5日間コースを3回やるパターンと、15日間コースを1回やるパターンがあります。
一回のコースは

  • 金:初回訪問
  • 土:作業日。どういう方向性でいくか、提言概要などを決める
  • (次の土曜日まで各自作業)
  • 土:各自の内容確認。全体の整合性のチェックなど。レビューでの指摘事項を修正。
  • 日:しあげ作業。各担当のデータを結合。印刷。
  • 月:プレゼン

という感じです。ただ、これは診断先の都合によって若干変わってきます。
私の場合は最終日のプレゼンは午前からだったため前日に印刷しましたが、午後からの場合は当日午前に印刷することもあるそうです。

 

15日間の場合は

  • 月:プレゼン
  • その週の金曜に次の企業の訪問

という感じでゆっくりできる期間がありません。
金曜までの間は訪問前の業界調査、企業調査をします。

 

ただ、ネットでみかける「睡眠時間3,4時間」とかそういう感じではありませんでした。
指導員に対しても「無理をさせるな」という話がされているようで、あくまで「可能な範囲でがんばる」というもののようです。

 

担当について

担当は「経営戦略」「IT導入」「営業」を担当しました。
初回は連休もあり、作業時間を確保しやすく、ある程度わかる業界だったので経営戦略を担当しました。
班長兼任だったので大変でしたが、診断の全体像を把握しやすく、初回にやっておいてよかったと思います。
ちなみに、3回目の班長は最後の修了式のときに班を代表して修了証を受け取れます。

 

IT導入については、自分がIT関係の仕事をしていて今後もそのあたりを強みにしていきたいと考えていたので希望しました。
「IT企業の中での効率化」と「非IT企業のIT導入」は違いが大きいので経験しておいてよかったと思います。

 

営業については、自分がやっていない担当「営業」「人事」「財務」の中で今後も使いそうなのはどれかと考えて選びました。
人事は社労士、財務は税理士がいるのであまりそこを深掘りしても武器にするのは難しいんじゃないかと思って営業にしました。


診断報告書について

実務補習では診断報告書というものを作成します。
作成する上での最も重要な点は「フォーマットを合わせておく」ということです。
これをしっかりやっておかないと印刷前の結合で大変なことになります。

主に決めておくべきことと、私の場合どうしたかについては以下の通り。

 

・階層
→ 深くなるに従い1 (1) ① a. の順。数字と括弧は全角

 

・インデントルール
→ (1)などインデックス部分はインデントなし、パラグラフ行頭は全角スペース一つ開ける

 

・1ページあたり何行で、一行何文字にするか
→ 40文字30行

 

・フォントは何にするか
→ 私はMacですが他の人はWindowsだったのでMS明朝

 

・フォントサイズはどうするか
→ 本文は10.5、図表の出典は8

 

・図表のルール
→ 図表はセンター、その下に出典を右詰、その下に図表タイトルをセンター

 

・図表タイトル
→ 「図表Ⅱ-3:〜」など


・ページ番号
→ ページ下部センター。通し番号ではなくⅢ-2 など各担当番号ごとにページ番号を設けた方が結合させるときに楽。

 

私の場合、最初に図表まわりのルールを決められておらず、最後にかなり修正をすることになりました。

 


診断の考え方

コンサルティングなどの本を読むとフレームワークがのっていたり、こうするべきみたいな論調のものもあったりしますが、基本的には顧客次第になります。
同じような事業で、同じような規模でも、顧客が今後どうしていきたいと考えているのか、ビジョンは何なのか、どんな社風かによって提案内容は変わってきます。

 

考え方ややり方は指導員によっても異なりますが、実務補習ではSWOTをベースに論旨を展開していくことが共通になっています。
外部環境がどうなっていて、自社は何を目指していて、手持ちのカードは何があって、これからどうしていくべきか。

 

実際の診断士の仕事の中ではSWOTは使わないという人もいます。
おそらくWeakにはあまりふれないからではないかと。
試験の事例問題でもあることですが、基本的には強みを活かすのであって、弱みが致命的でない限りはその補強にリソースを割くことはしません。弱みを補っても平均レベルにしかならず、競争には勝てません。
潤沢ではないリソースを活用となると、強みを活かして差別化して競合との正面衝突を避けながらポジションを築いていく、というのが基本姿勢になるかと思います。

 

実務補習は短い期間ですし、ヒアリングも1回だけなので十分なコンサルティングができるわけではありません。
これから診断の考え方については場数を踏むことで変わっていく部分も多いとは思います。

 


診断士という仕事について

指導員にいろいろ話を聞かせていただきましたが、思った以上に「人」の仕事だなという印象です。
猟師をやっている人、歓楽街で居酒屋をやっている人、企業経営している人、伝統工芸をやっている人、農業をしている人、etc。また、趣味のつながりもあるようで、とくにマラソンなどでつながっている人もいるようです。
そういう「ゆるいつながり」の中で人脈ができていって、仕事の幅も広がっていくようです。

 

診断士の仕事は相手の話を聞くということの重要度が高いので、10日のうち9日は関係ない話をしていて、1日だけ重要な話がきけた、みたいなのもあるようで、そのあたりは営業と近いところがある気がします。
そういう意味では、上から目線で教科書通りの理屈を並べるタイプではなく、趣味の幅が広く玄関先で世間話できるようなタイプの人の方が中小企業診断士には向いている気がします。

 

学生の頃にグループディスカッションを教えていただいた元マッキンゼーコンサルタントの人は
コンサルタントに最も重要な資質はチャームだ。顧客に愛されないと仕事を依頼されない。」
と言っていましたが、その通りだと思います。

 


サラリーマンとの兼業について

私はサラリーマンを今のところ辞めるつもりはなく、土日などで都合がつけば診断士の活動をしていこうと考えています。

 

 


まだまだこれからですが、とりあえず資格取得までにやることが一通り終わって一安心です。
今後は経験を積んで京都の企業の発展に携わっていきたいと考えています。